(2)動物保護団体の崩壊〜ネグレクトになった保護団体〜続編

6月末、和歌山を拠点に活動する Wan LIfe 島田代表のところに、1本の電話が入りました。

「もう世話をすることができない、助けてほしい」

動物保護団体というのは1つではなく、各地に大小様々な団体が存在し、それぞれ活動していますが、大きな飼育崩壊などが起きると団体同士が互いに連携を取り、犬猫たちのレスキューを行う場合があります。

今回、関西で崩壊したという保護団体と10数年来、代表同士交流のあったWan Lifeの島田氏は、この“関西の崩壊団体代表”からの電話を受け、同じく連携を取り合っていた、関東を中心に活動を行う ドッグレスキュー代表の廣田氏にレスキュー依頼の連絡を入れました。

ドッグレスキューチームのスタッフは、それぞれ持つ本業の仕事を終え、2016年6月24日(金)夜、東京を出発、関西方面へ向かいました。

6月25日(土)朝、現場に到着したドッグレスキューチームは、早速、現場に残された犬猫たちのリスト作成に取り掛かります。レスキュー現場では、1頭1頭の写真を撮影し、個体リストを作り、個体数や状態を確認しなければならないからです。

▲ナンバーをふり、撮影開始。

柴犬の【さこん】(まだこの子は現場にいます)


▲雑種の【ムック】 この子もひどい皮膚炎を起こしているのが一目でわかります。


▲ワイヤーダックスの【のりお】 ワイヤーダックスと言われなければ犬種がわかりません。


▲雑種の【あいちゃん】


▲雑種の【あんちゃん】


こうして撮影していく中の1匹に、パピヨンの【ジュニア】がいました。

▲30番目 パピヨンのジュニアは抱き上げて撮影しなければならない状態。体は極度に細くやせ細り、体毛は毛玉ができ、まだ生きているジュニアにはハエがたかっていました。

寝たきりだったジュニアの横には、ドッグフードの入った食器が置いてあり、すでにフードはカラカラに干からびていたという。

「食事を与えていた。」

自力では水分補給も食事も満足にできない子に対し、これで食事を与えていたというのだろうか。


この施設では多くの猫もいるので猫リストを作成するため、崩壊保護団体代表から事情を聞くと、「猫の名前も状態も分からない。(代表自身では)世話が出来ない」と言うので、この猫たちの世話をしていたボランティアに連絡を入れ、そのボランティアの到着が日曜日になるということで、その到着まで待ち、ボランティアと共に[エイズ陽性のネコ達の部屋]に入りました。

そこには…すでに息絶えた猫が放置されていました。この黒猫は腎不全の末期、黄疸が出ていて、もう長くないので病院から施設に連れ帰って来たのだそう。

「病院で亡くなるより、慣れ親しんだ場所で最期を...」と、願う崩壊保護団体代表の気持ちからだそうですが、腎不全ならば、いくら末期とはいえ毎日の補液や投薬も必要だと思うのだが、「慣れ親しんだ場所で…」これが慣れ親しんだ場所での最後の姿になってしまいました。

お世話をしていた人の気持ちとは裏腹に、これでは「 愛情をかけて病院から連れて帰ってきたのだ」との弁明を理解するには難しいものがあります。


帰路の準備をしている間、まだこの時点で、小さく息をしているジュニア。風通しの良い木陰にゲージを設置し、清潔なタオルの上に寝かせました。「早く助けてあげたい!」撮影を予定時刻より少し早めに切り上げ、ドッグレスキューチームは状態の悪い子を当日中に、病院で治療を受けられるように数頭を車に乗せました。


しかし、東京に急ぐ車内で、午後14時頃、ジュニアは息絶えてしまいました。

帰京してから、ジュニアの訃報を崩壊保護団体代表に伝え、火葬が都内で行われました。

火葬する前に、せめてジュニアの体を綺麗にしてあげようと体のケアをすると、全身に残された毛は、全て毛玉で固まっていました。免疫も下がり、皮膚疾患になり痩せていたのです...

これを「老犬を保護したのだから仕方のないこと」で済ませられることなのでしょうか。

この状況で生きていたジュニア。

老犬は手がかかります。保護しても十分なケアができないのであれば、《虐待》になってしまいます。

動物虐待とは、単に暴力をふるうことだけではなく、 所有者が当然負うべき適正な飼育義務及び責任を怠っている場合(ネグレクト)も虐待と見なされます。痛みや苦しみを口に出すことのできない動物たちは、ただじっと耐えるしかないのです。

丁寧に見送られたジュニア… どうか安らかにと祈らずにいられません。


東京犬猫日和では「 動物保護団体の崩壊〜ネグレクトになった保護団体〜」情報提供者の協力の元、記事を掲載いたしました。

この記事掲載の前に、現場に入ったレスキュー団体はそれぞれの持つFaceBook内にて、この状況を掲載したそうですが、その際に崩壊元の保護団体代表も立ち会い「名前は伏せて欲しい」との希望により、名前は伏せて掲載に至ったそうです。

名前を伏せていても、関西では大規模なシェルターだったため、崩壊団体代表の元に問い合わせがきたそうです。

代表にはプライドもあるのでしょう。問い合わせが来た方にはこの代表者は「崩壊ではない」と言っているとのことですが、これを聞いた人たちは、何が真実なのかと動揺するのは当然です。

***************************************

この崩壊保護団体は、志高く、どんな子でも引き取り、誰も引き取らない子達を積極的に受け入れ、獣医師のバックアップの元、治療なども行い、その行為は多くの人に賞賛され、ボランティアスタッフも意欲的にこのシェルターへ通っていたと思います。全国から届く、支援物資の数の多さからも、本当に多くの方々に支えられてきた事も事実でしょう。

幸せな家族に引き継がれた実績も多くあります。誰もができる事ではありません。感謝している人、動物もきっといるでしょう。

しかし、年月が経つにつれ、常にスタッフ不足、増え続ける動物たち。(動物たちも犬猫だけではなく、鳥、豚などもいるそうです)沢山の子達を抱えているのですから、すべての治療、ケア、世話は十分に行き届かなくなり、最後の最後まで通ってくれていたボランティアが去ってからは、そのケアも全くできなくなり、ついに、代表者は長年の仲間に「助けて」と電話を入れました。

ジュニアを保護したドックレスキュー代表廣田氏にお話を伺いました。

「この団体は《崩壊》しています。確かにこの崩壊保護団体の代表が頑張っていたのは、長年の付き合いのある私達は知っています。しかし、同時に、「不衛生である」と言う事も耳に入っていましたので、何年も前から「東京からもスタッフを連れて行くから、一度施設内を徹底的に掃除をして片付けよう」と、何度も崩壊団体代表に提案をしてきました。その度に、代表は「獣医さんが片付けてくれるから」と言う理由で申し入れを拒否していました。断られてしまえば、私達は無理やり中に入って勝手に片付ける事は出来ません。」

ドックレスキュー代表は、何度も提案をしてきたという事と同時に、獣医師が入っていた事に対してもこう指摘する。

「シェルター開設時からバックアップしていたという獣医師は、きちんと指導を行っていなかったのではないでしょうか。そう思われても仕方ないほど、少なくても私達が入った施設は 不衛生で、適切な治療が行われていたとは到底思えない状態でした。」

▲現場から、ドッグレスキュー廣田氏が東京に連れて帰ってきた【ちびじいちゃん】

この子は全身排泄物だらけで、頭の上まで排泄物がこびり付いていました。疥癬もあります。

崩壊保護施設内のあちこちには、疥癬の子達が普通に過ごし、蔓延しているのが現状です。

***********************************************

アニマルホーダー、ネグレクト、この言葉は近年度々、動物虐待や多頭飼育崩壊の場で使われる事が多くなりました。

アニマルホーダーは、自家繁殖を繰り返す飼養者や、動物保護を目的とする救助者など、いくつかのタイプがありますが、動物が増えていくにつれて世話ができなくなり、著しい過密状態で、病気、餓死、共食いなどが広がり、次第に事態の収拾ができなくなっていきます。極めて不衛生な環境のため、パスツレラ、白血病、猫エイズなどの感染症や皮膚病、骨格異常などが蔓延し、動物たちの多くは安楽死をせざるをえない状態で発見されますが、人間にとっても多量の排泄物の蓄積は、人畜共通感染症の温床となり、公衆衛生上、深刻な問題となっています。

(※ http://www.inunekonet.jp/hoarder.html

***************************************************

これが今、日本の動物保護団体で起こってしまったという現実を私たちは受け止めなければならないでしょう。

誰かが飼育放棄をした動物たち。保健所や動物保護団体は、都合のいい処分施設では決してありません。そこには今もなお生きている命があります。

新しい再出発を応援してくださる方々の目に止まり、1匹でも多くの子達が救われますように。

*****************************************************

個体情報、お問い合わせは下記2団体まで。

ドッグレスキュー 】: http://www.dogs-rescue.net

ドッグレスキューFB: https://www.facebook.com/dogsrescue/

WanLife 】: http://wanlife.gozaru.jp/index.htm

WanLife FB: https://www.facebook.com/wanlife1?ref=profile

< >