米国人による“趣味の狩猟”で大量の動物が犠牲
年間12万6000頭を超える動物が殺され、米国に

自らが仕留めた動物たちと一緒に写真に収まる、テキサス州の石油業者で狩猟家のケリー・クロッティンガー氏と妻のリビー。彼のトロフィーハンティングは、多くの人々の怒りを買っている。(Photograph by Robert Clark, National Geographic)

米国の狩猟家団体サファリ・クラブ・インターナショナル(SCI)は、少なくとも600頭分の狩猟権を対象にしたオークションを行っている。「アルティメート・ハンターズ・マーケット(ハンターのための究極のマーケット)」と称するこのオークションに対しては厳しい批判が寄せられているが、これら600頭分の狩猟権は、スポーツ狩猟産業において米国人が関与している案件のほんの一部でしかない。

Photograph by Robert Clark, National Geographic

(参考記事:「動物600頭の狩猟権オークション始まる」

動物保護団体ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(HIS)とヒューメイン・ソサイエティー・アメリカ支部が、米国魚類野生生物局が持つ輸入データを分析した結果、動物を必要性からではなく娯楽のために殺害するスポーツ狩猟家たちは、2005〜14年までの10年間に、126万頭分の「トロフィー(趣味の狩猟による獲物)」を米国に輸入していたことがわかった。平均すると1年間に12万6000頭、1日に345頭のトロフィーが輸入された計算になる。我々はこの調査によって、身を守るすべを持たない、絶滅の危機にある世界中の動物たちの殺害に、米国人がどれだけの規模で関与しているのかを明らかにしたいと考えています」と、HISに所属する国際貿易政策の専門家、マーシャ・カリーニナ氏は言う。

 スポーツ狩猟家たちの言い分は、彼らの行為は、地元経済を活性化し、野生動物の保全活動に必要な資金を提供している、というものだ。

(参考記事:「ゾウを殺してゾウを保護するという矛盾」

しかし保護活動家や動物福祉に携わる人々、大勢の科学者らは、スポーツ狩猟は危機にある動物の個体数を圧迫しており、狩猟家らが言うほど地元経済を活性化する効果はないとしている。また、野生動物を娯楽のために殺すのは倫理に反するという声も多い。米国に持ち込まれるトロフィーの最大の輸出国がカナダだと聞けば、驚く人もいるかもしれない。しかしカナダは米国人にとっては距離が近くて行きやすく、またアメリカクロクマ、グリズリー、ヘラジカ、オオカミといった北米を代表する動物の産地でもある。

 同様の理由から、メキシコもスポーツ狩猟家には人気がある。HSIによると、同国の狩猟産業は2億ドル規模で、周辺地域での狩猟を売り物にする宿泊施設は4000カ所近く存在する。「メキシコは米国人狩猟家を非常に歓迎しています。米国人にとっての大きな魅力は、こうしたタイプの狩猟が手頃な価格でできることです」とカリーニナ氏は言う。狩猟家たちが特に強い憧れを抱いているのが、アフリカの「ビッグファイブ」と呼ばれる動物たち――ライオン、ゾウ、サイ、スイギュウ、ヒョウだ。ビッグファイブはアフリカを象徴する存在であるだけでなく、狩りの対象としても最も危険性が高く、それが彼らを殺害する価値をさらに高めている。(参考記事:「なぜライオンは今も狩猟の対象なのか?」

2005年から2014年までの10年間で、米国人のトロフィーハンターたちは、ライオン、ゾウ、スイギュウ、ヒョウを計3万2500頭近く輸入している。

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ライオン:ライオン狩りは特に多くの物議を醸している。セシルの一件の後はなおさらだ(ジンバブエの国立公園で人気を博していたライオンのセシルが、米国人歯科医によって射殺された事件)。南アフリカでの「キャンド・ハンティング」(飼育場でライオンを繁殖させ、フェンスに囲まれた敷地内で狩猟家に射殺させる狩りの方法)は、米国人にとりわけ人気が高い。2005〜14年の間に、トロフィーとして米国に持ち込まれたライオン5587頭のうち、こうしたやり方で狩られたライオンは1500頭以上にのぼる。しかしキャンド・ハンティングに対しては今、批判が高まりつつある。南アフリカの狩猟協会は最近、投票により、キャンド・ハンティングとは関わりを持たないことを決定した。

http://blog.humanesociety.org/wayne/2015/09/report...

(参考記事:「殺されたライオン「セシル」が愛された理由」)つい先日、米国人狩猟家によるライオン狩りを新たに規制する動きがあった。1月22日、米国絶滅危惧種法において、すべてのライオンが「絶滅危惧種」に指定されたのだ。これからは仕留めたライオンを輸入したい場合、必ず許諾を得なければならない。許諾を得るには、その狩猟が野生ライオンの生存に貢献したことを証明する必要があり、ヒューメイン・ソサエティーによると、この条件を満たすことができる狩猟家はほとんどいないだろうということだ。

ネイティブアメリカンが崇拝していた動物を殺したハンター

2013年、ミクマク族によって崇拝されていた珍しいアルビノのヘラジカを殺した3人のハンターはその謝罪をした。ハンターたちの名前は伏せられているが、彼らはカナダ、ノバスコシア州ケープ・ブレトン・ハイランズで動物を撃ち殺した。彼らによれば、その動物を狩猟したことでミクマク族の怒りを買うとは思いもしなかったという。だが、アルビノの動物はミクマク族にとっては神聖な生き物だったのだ。

https://hnatiuks.com

取り返しのつかない過ちは、彼らがランツの剥製店へ遺体を持ち帰ったときに発覚した。後にハンターたちはミクマク族が儀式を行えるよう、毛皮を返還た。http://www.treehugger.com/endangered-species/sacre...

ゾウ:2014年、絶滅への懸念から、タンザニアとジンバブエからの、狩猟で仕留めたゾウの輸入が禁止されたが、ゾウの狩猟事業には、腐敗と不正な管理が蔓延していると同局は指摘する。

ヒョウ:米国は南アフリカのヒョウを危急種、その他のヒョウすべてを絶滅危惧種に指定している。最近、南アフリカはヒョウのトロフィーハンティングを事実上禁止した。国内にどれだけの数のヒョウがいるのか、はっきりした数字を誰も把握していないからだ。同国政府はトロフィーハンティングの横行とヒョウ皮の違法取引を、特に大きな脅威と位置づけている。

サイ:クロサイは絶滅寸前の危機にある。国際自然保護連合(IUCN)によって、近危急種に指定されているミナミシロサイはツノを取引する密猟者に深刻な被害を受けており、2015年には少なくとも1305頭が違法に殺された。

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※トロフィーハンティング:野生動物を狩猟してその皮を剥ぎ取ったり剥製にしたりするスポーツ、欧米では歴史的に盛んに行われてる。

※「canned hunting(キャンド・ハンティング)」:南アフリカで、土地の所有者にその土地内の野生動物の所有権を与えるという法制が採られており、広大な土地に野生動物を「飼育」して、客に領域内でハンティングをさせるというが貴重な外貨収入源として、産業的に行われている。「缶詰状態」の中に「野生」動物を放して行う狩りを「キャンド・ハンティング」という。

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ちなみに、少し話が逸れますが、ナチスドイツのドイツの警察権力を掌握したハインリヒ・ヒムラーは、自然愛護主義者でした。

▲ハインリヒ・ヒムラー  https://ja.wikipedia.org/wiki/ハインリヒ・ヒムラー

ヒムラーは動物には優しく、動物の保護やドイツの子供たちへの動物愛護教育を熱く論じていたそうです。また、彼は菜食主義であり、殺生を嫌ったために動物の肉は食さなかったとされています。狩猟愛好家であったゲーリングに対して、以下のように愚痴をこぼした記録が残されています。

「ゲーリング、あの血に飢えた犬の畜生は動物と見れば手当たり次第に殺している。何も知らずに森の端で草を食む、何の罪もない動物を撃ち殺すのがなぜ楽しいのか。それは正真正銘の虐殺だ」「あんな可愛い目をした鹿を撃ち殺すなんて彼は残酷だ」

1933年の政権獲得後、ナチス・ドイツは次々と動物保護、自然保護に関する立法を実現。ナチスドイツの環境法制は、「木や動物の権利」が認められていたという点で従来の人間中心の環境保護とは一線を画すものでした。ナチスのイデオロギーの中には自然保護がありました。

動物保護に関するナチスの評価は、人間中心の構図の拒否- 動物は人間の利益のためではなく、「動物それ自体のために保護すべきとする考え方」 現在でもドイツの民法では、「動物は物ではない」ということが明記されています。これは、日本の法律が動物をモノとして扱っていることとしばしば比較されています。。

私たち人間は、いつになったら自分の欲求を満たすだけの動物虐待に終止符が打てるのでしょうか。

参照:ナチス・ドイツ, 自然保護法, 動物保護法, Nationalsozialismus, Naturschutzrecht, Tierschutzrecht:NISHIMURA Takahiro

http://ci.nii.ac.jp/naid/110004868271

情報元:http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/02090004...

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