~「他人の犬を襲わせる紀州犬動画炎上と日本犬について」 VOL.4〜

訓練士のごしまれいこです。この度、このような動画を目にし、私からこの件に関し、思うところと、「日本犬」についてお話させていただきます。

関連記事▶︎【動画】紀州犬(名前は「しろ」)で他人の飼い犬を襲わせる虐待映像が炎上!

まずは、この動画を見てコメントしていた人たちに一言。

みなさまは犬の本質、性格、なぜこうした「犬種」がつくられたか、わかっていてコメントをしていますか?ただただ、この紀州犬の飼い主のことを非難しているだけの方が多いように感じました。確かにあの動画を観たら多くの人が不愉快になるはずでしょう。

しかし、私から見たら、この犬たちにとってこの行動は「ごくごく当たり前」のことだと思いました。なぜなら、そもそも紀州犬の性格はこうした「獲物を捕らえる性格」をもちあわせているからです。ましてや同じ飼い主が投稿している動画に、この紀州犬に猪を襲わせている動画があったことからも、この犬が普段から「猟犬」としても飼育されていることがわかりました。ただし、この飼い主さんは「本物の猟師」ではないようですね。

なぜかというと、自分の犬がどういう性格かわかっていたら、長い事、にらみ合いをさせていないはずです。あの動画では紀州犬がリードをつけていました、そこへ、ノーリードの柴犬が突進し、にらみ合いがはじまりました。

この時点で、私だったら、紀州犬を引き離します。

しかし、この紀州犬の飼い主はそれをしませんでした。その結果、取っ組み合いの喧嘩になることはわかりきっていたことです。ましてや急所狙い。紀州犬の飼い主を褒めているわけではないですが、紀州犬としては実に正確な行動を起こしているわけです。

それを動画に撮影し、「うちの紀州犬は強いんだ」といった単なる自慢として、猪を襲わせたり、多くの人の目に触れるような公開動画を作成する愚かな紀州犬の飼い主と、柴犬をノーリードで放し飼いにしている愚かな飼い主。喧嘩両成敗です。

それをただただ柴犬かわいそう、と多くの方が柴犬擁護で、批判だけをしていたことを疑問に思いました。非難すべきは両方の飼い主です。

確かに噛まれた柴犬は「かわいそう」に思いますが、それは愚かな双方の飼い主に、飼われてしまったせいでこのようなことが起きてしまったのだと思います。

ここは日本です。条例でノーリードでの散歩がいけないことは、定められていますよね。

ですからノーリードにした時点で、その飼い主が罰せられなければいけないことで、一方的に紀州犬が悪いとは言い切れません。

それをただひたすら柴犬擁護をしていたことをいかがなことかと思います。

ついでに、日本犬についてお話しさせていただきます。日本犬は「狩猟目的とした犬種」として作られたものがほとんどです。それを洋犬の”ペット”と同じような考えで、一般の人が飼育できる犬ではないことを強く注意喚起いたします。

日本犬は「一人主人」と言って、「一人の主人しか作らない性格」を持ち合わせています。

他人に媚をうらない。八方美人ではありません。だから私はとても好きな犬種でもあります。

飼い主にはとても忠実でいい犬です。

しかし、他の犬はもちろんのこと、他人に対してもすぐ心を許す性格ではないため、多頭飼育には向きませんし、飼い主以外の他人が手を出すことも好みません。

中には、フレンドリーな日本犬も稀にいますが、それは生まれた時から他の犬に接する機会が多かったり、環境に恵まれていた場合、それと一番大事なのはDNA。血統的に温和な性格である場合に限ります。

例としてあげますが、北海道犬(アイヌ犬)をご存知ですか?CMでも起用され、その愛らしい姿が人気がでましたが、北海道犬をペットショップで購入したという話を聞いた時には大変驚きました。なぜなら、北海道犬というのは「北海道(アイヌ犬)同好会」でしか繁殖・譲渡されていなかったのです。それがペットショップに流通したということ。

同好会の中からどなたかが手放したことに他なりません。

需要があるから供給がある。欲しい人がいると、とたんにこうした狩猟犬としての気質の高い犬たちも、市場に出回るようになります。日本犬を知る私からしたらありえないことです。

私が危惧しているのは、北海道犬を知っているからです。

北海道犬(アイヌ犬)は「熊の狩猟」に使用する犬ですから「犬歯」が他の犬と違い、特に根元が太いのです。噛まれたら傷が大きな穴になり、重症を負う可能性が非常に高いのです。

これも余談ですが、犬に噛まれ、犬歯が食い込んだ場合、けしてすぐに縫合しないことです。これは外科医でも知らない人もいますので忠告しておきます。

なぜすぐ縫合してはならないかというと、犬歯が入った場合、中で化膿してしまうのでそこを縫合してしまうと、奥深い場所で化膿してしまい、高熱がでてしまい治療が長引くからです。

緊急処置として、まずは傷口を吸ってでも、絞ってでもいいので、中の菌を出すこと、そこに消毒液を流し、病院に行くことです。これは経験上お話できることです。

それから今ブームになってしまった秋田犬に関して。みなさんは犬が、尻尾をゆっくりよこふりしていると「喜んでいる」と思いがちですよね。秋田犬はそこで事故が起こります。秋田犬の尾の横振りは、「これ以上寄るな、寄ってきたらやるぞ!」というシグナルです。何でもかんでも犬が尾を振っていれば喜んでいると思わないでください。

これは犬種によって違います。洋犬でもテリア種の小刻みな尾の横振りは危険です。秋田犬も大型の狩猟犬ですから「ペット扱い」にして飼育することは大変危険です。

ただし、秋田犬をよく理解している人にとっては忠実で「とても愛しい存在」です。そこを間違えないでください。

...........................................................................

私は最近、悲しい情報を耳にしました。

約2ヶ月前に神奈川県内で秋田犬が20頭近く、飼い主の事情により保健所に収容されたそうです。飼い主は、秋田犬の繁殖をしていたようですが、第1種動物取扱業の申請もしていない上に、狂犬病予防注射登録もしていなかったそうです。

ということは、この飼い主を保健所は罰を与えるために告発してもいいくらいだと思うのですが、それをせず、犬を一部飼い主に返還、現在7頭の秋田犬が収容されているとのこと。

保健所はペットホテルではありません。この対応はいかがなものでしょうか。条例は何のためにあるのですか?それに対しての罰則も全く遂行していないではないですか。

市民の生活を守るのが行政の役割であるなら、秋田犬といった大型狩猟犬種が、無許可で繁殖され、条例を守らず、やりたい放題しているのを止めるのが仕事ですよね。

行政がきちんと条例に沿って罰則を遂行すれば、犬たちも人間の都合に振り回されることはないはずで、ボランティアの人たちの苦労も減るはずなんです。

そして、行政がボランティアの方々に犬や猫たちの世話を「丸投げ」しているということは、本来の行政の仕事を放棄しているとしか思えません。

行政の方、しっかりとお仕事しましょうね。

そして、いま世界中で「日本犬」が人気なようですが、くれぐれも犬の性格や犬本来のその犬が作られた目的をしっかりと知識を持った上で、中途半端な繁殖業者やペットショップのいいなりにならないことを祈ります。

〜訓練士歴54年 女性訓練士のパイオニア ごしまれいこ 

 「他人の犬を襲わせる紀州犬動画炎上と日本犬について。」 VOL.4

.............................................

東京犬猫日和

※記事掲載の無断転載を禁じます。

Interview&Writer : Emi.S

.................................................

ごしま れいこ 訓練士

1946年 北海道室蘭市出身 女性訓練士のパイオニア・根本としこ先生に師事、独立。

JKC(ジャパンケネルクラブ)公認訓練士資格、訓練教士資格、審査員資格、NPD(日本警察犬協会)訓練士資格を保持していたが、40歳の時にすべて破棄。

日本軍上がりの男性訓練士、絶対服従訓練中心の時代から「家庭犬訓練の必要性」を訴え、その個体、家庭に合わせたしつけ訓練の普及に貢献してきた。

現在も現役で訓練士として活躍中。

....................................................

▪︎著書

「犬そだて」(全3巻)ごしまれいこ 1998年(いれぶん出版)

「うちのこそろそろ年かしら」2001年(モダン出版)

「成犬でも大丈夫!困った犬のしつけ方Q&A」2001年(主婦の友社)

「テディベア・プードル・ピクチャーブック」2003年 (小学館)

「小型犬・困ったときの愛犬セミナー 感じてください。わが犬からのサインを!」

2005年日東書院本社

▪︎連載 

愛犬チャンプ 「ゴッシーの犬育てはハンパじゃない」1994年1月号〜1997年10月号

・現在、webmagazine 「東京犬猫日和」で不定期連載中(2018年〜

..................................................

【ごしま先生への相談・訓練のお問い合わせ】 

info@tokyoinuneko.com

東京犬猫日和「ごしま れいこ先生」宛

>