訓練士歴54年 女訓練士のパイオニア ごしまれいこ

~「酷暑に備えて」 VOL.3 〜

訓練士歴54年 女訓練士のパイオニア ごしまれいこ

訓練士歴は54年日本の犬の歴史を見てきた1人だ。女性訓練士として草分け的な存在であり、今も多くの愛犬家に慕われている。

日本にいる犬たちそれでも犬を買いますか? VOL.1VOL.2では「問題犬が出る原因と解決方法を問題提起」に続く「酷暑に備えて」 VOL.3 お話を伺います。

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~「酷暑に備えて」 VOL.3〜

ー日本の夏、5、6月でも日中の気温が30度近くあがることが増えてきました。

日本の「酷暑」を犬たちと過ごすには、どのようなことに気をつけたらよいでしょうか。

ごしま「みなさんは、まずその日の天候、その犬の体調を考えて散歩に出ていますか?季節関係なく、まず第一に考えてあげること、特に日本の夏は湿度が高い、暑い日が多く、犬達には厳しい季節になります。しかもほとんどの犬種が「外来種」であるということ。日本の気候風土にあった犬達ではないということ。これを肝に銘じてください。

散歩に出るときにアスファルトに手をついて確認したことがありますか?焼け付くアスファルトをあなたは素足で歩いたときのことを考えてください。それと私達人間の顔の高さと、犬達の顔の高さにどれほど違いがあるでしょう。夏場は照り返しで3〜5度の違いがあるそうです。日中、暑い時間に犬達を外に連れ回すことはどれだけ危険か考えてください。」

ごしま「車での移動もプラスチックのクレートは車中、いくら冷房をかけても届かないことがあります。できれば金属製のケージの方が理想です。それでも暑いときは、氷やアイスノンをタオルに包んでケージの中に入れておいてあげるとよいでしょう。ちなみに私は、夏の暑いときは日のあるうち、犬の車移動はできる限りしません。それと目的地に着くまでの道程を考え、日陰のある道を選び、遠回りしてもそうした道を選んで移動します。それと休憩する場合も、屋根付きの駐車場のあるレストランや木陰のある駐車場を選んで休憩します。それくらい注意を払わないと、夏場の移動は命の危険さえあります。

これは室内、車内でも言えることですが、冷房をつけっぱなしにしていても、かならず窓を少し開け、空気の流れを作らなければならないことを覚えてください。なぜなら、強い冷房を浴び、冷えすぎにより命を落とした犬もいるからです。」

ごしま「それから日本には梅雨という季節があります。これは外飼いの犬に起こったことです。長雨が続いた年がありました。長毛犬で長雨のため、湿気が身体中を覆い、肺炎を起こしてしまいました。肺炎の治療を施したにもかかわらず、発熱から一週間後に亡くなってしまいました。湿度も非常に怖いものです。特に長毛の犬種は湿度に気をつけてないと、毛の中に湿度が入り込み、肺炎を起こしてしまうことがあるのです。こうした外来犬種は日本の気候にあった体質を持ち合わせていないことが多く、だからこそ、室内で気温と湿度の管理が必要になり、エアコンを使用するなど経済的に余裕がないと外来犬種の飼育管理は"とても難しい"ということなのです。」

ごしま「そして、トリマーの方に話したいことですが、飼い主の要望に全て応えることはいかがなものでしょうか。プロであるならばその犬種の生態を把握し、毛のカットの必要性などを飼い主の方に説明できますか? 長毛種の長い毛は暑い夏には断熱材となり、暑さ寒さを防ぐ「毛」の役目があることをしっかり説明しているのでしょうか?「サマーカット」は人間の視覚から行って涼しそうに見えるのですが、犬達にとっては実は迷惑なものです。それでもどうしても夏場、暑そうだと思うなら、胸からお腹にかけてカットしてあげると自ら冷たい場所に移動し、犬たちは自ら温度調節をします。」

ごしま「それと、爪、血が出るほど切ってませんか?飼い主さんによっては「できるだけ短く」と言われる方もいます。トリミング学校でもそれに応えて横に止血剤をおいて「キャン」と鳴くまで切ることが行われていますが、犬たちは、その血が出るほど切った爪で外を歩かなければならないのです。足を触られて嫌がる子、噛み付く子はすべて「そうした行為」によって「痛い思い」をしているから嫌がるのです。それもプロとして説明してあげましょう。トリミング学校もしかり。どうしてこのような犬のことを考えない人間目線でのトリミングや爪の処置が行われているのか私には理解できません。爪の処理に関して言いますと、一昔前、犬たちが外で十分運動していれば爪を切る必要がなかったのですが、近年は室内飼育と運動不足により、爪が伸びる傾向にあります。爪の処理が必要になったのはこうした人間との暮らしが大きく関係しています。自分で噛んで調節する子もいますが、人間が処置する場合、まず、犬の手を触ることから慣らし、爪の先端を少し切るところから始めていき、不要に短くする必要はありません。爪には爪の役割があります。どうしても痛いトラウマで足を触らせない子には、ひとつ方法があります。暑い日を避け、コンクリート(アスファルトではなく)の道路を散歩するか、飼育場所を一部をコンクリートにし、そこで遊ばせるなどすると、自然と爪は削れていくのです。」

ごしま「それと、夏用の犬の洋服を着せていませんか?今流行の「濡らして着せる」夏用の洋服。これは如何なものでしょうか。犬たちは「濡れた布」をまとうのを喜んでいません。

夏場の犬というのは本来、あまり動こうとせず、涼しい場所で過ごすことをしているはずです。そのような服を着せるということは、夏場の暑い時間に飼い主の都合で犬を連れ出すから必要だとされているのでしょう。良かれと思い、真夏のレジャーに愛犬を連れ出すことは犬たちにとって逆効果であることを知ってください。

夏場は犬たちの活動量が緩慢になるので、食事内容もカロリー控えめ、油控えめにして考慮する必要があります。ここで注意ですが量は減らないでくださいね。あくまで食事の「内容」です。量を減らさず、カロリーを控えるのですよ!」

ごしま「夏は犬たちがおとなしく過ごす時期です。できれば暑い時間、つれ回さず、ゆっくりと休める場所で休ませてあげてください。運動は早朝や夜間、または木陰を選んであげてくださいね。どうしても都会の場合、アスファルトの道路が多く、歩かざるを得ない場合があります。その場合、キャリーカートを使用したり、わざわざサイズ選びの難しいペット用の靴をかわなくてもホームセンターにソックス型の椅子のカバーが安価であります。こうしたものを使用してもいいと思います。 まずは日中、犬たちをつれ回さないことが一番です。

それくらい日本の気候に合わない、外来種の犬たちが一緒に生活してくれているのですから、私たちが人間が、配慮してあげましょう。そして、周囲に困った飼い主さんがいたらみんなで一言、声をかけあい、犬との暮らしが楽しくなるようにしたいですね。犬も快適なら私たちも快適なはずです。」

〜訓練士歴54年 女性訓練士のパイオニア ごしまれいこ 

 「酷暑に備えて」 VOL.3

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東京犬猫日和

※記事掲載の写真は東京犬猫日和及び協力者の許可を得て掲載しており無断転載を禁じます。

Interview&Writer : Emi.S

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ごしま れいこ 訓練士

1946年 北海道室蘭市出身 女性訓練士のパイオニア・根本としこ先生に師事、独立。

JKC(ジャパンケネルクラブ)公認訓練士資格、訓練教士資格、審査員資格、NPD(日本警察犬協会)訓練士資格を保持していたが、40歳の時にすべて破棄。

日本軍上がりの男性訓練士、絶対服従訓練中心の時代から「家庭犬訓練の必要性」を訴え、その個体、家庭に合わせたしつけ訓練の普及に貢献してきた。

現在も現役で訓練士として活躍中。

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▪︎著書

「犬そだて」(全3巻)ごしまれいこ 1998年(いれぶん出版)

「うちのこそろそろ年かしら」2001年(モダン出版)

「成犬でも大丈夫!困った犬のしつけ方Q&A」2001年(主婦の友社)

「テディベア・プードル・ピクチャーブック」2003年 (小学館)

「小型犬・困ったときの愛犬セミナー 感じてください。わが犬からのサインを!」

2005年日東書院本社

▪︎連載 

愛犬チャンプ 「ゴッシーの犬育てはハンパじゃない」1994年1月号〜1997年10月号

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【ごしま先生への相談・訓練のお問い合わせ】 

info@tokyoinuneko.com

東京犬猫日和「ごしま れいこ先生」宛

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