訓練士歴54年 女性訓練士のパイオニア ごしまれいこ 

~「 問題犬がでる原因と解決方法を問題提起」VOL.2~

犬の訓練士 ごしま れいこさんは、現在72歳、現役の訓練士。

訓練士歴は54年日本の犬の歴史を見てきた1人だ。女性訓練士として草分け的な存在であり、今も多くの愛犬家に慕われている。

日本にいる犬たちそれでも犬を買いますか? VOL.1」に続くVOL.2では「問題犬が出る原因と解決方法を問題提起」というテーマでお話を伺います。

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ーー問題犬がでる原因とはなんでしょうか

ごしま:「問題犬=しつけや疾患などで問題が多い犬が出る原因」これは、根本に何の知識もなしに、ただ繁殖を繰り返している繁殖者たちの責任が大きいと考えています。繁殖というのは良い子孫を残すことを考えてスタンダードにより近い子を出すということが「繁殖」です。ただ、同犬種だからという理由で産ませるというのは「繁殖」とは言いません。

いま現在、しっかりとした「繁殖」を行うブリーダー以外から犬たちを迎えているご家庭が多い中、自称ブリーダーが(自分からブリーダーと名乗る人は真のブリーダーとは言えません。)犬を産ませ販売している場合、どのような疾患、問題点がでるかを全く考えていないのですから、ペットショップに並ぶ動物たちに様々な疾患や問題行動が起こることは多いはずです。そもそも生まれた犬たちの「癖(へき)※その物特有の性質・傾向」というのは「血」=血統以外に他なりません。

例えば、一つの例を挙げると、うちの子は「咬癖(こうへき)」があるという場合。

本当の「咬癖」があるというのは、幼犬の時から目つきが違います本当に人に襲いかかって噛み付く、それはもう完全に血統に他ならないのです。そうした血を持つ犬は本来、人と生活することはできないのです。

これをいうと、犬歯を削る、抜けばいいではないかという「自称 愛犬家」という人たちもいますが、犬歯を抜いたところで「血」というものはなかなか変わらないもので、互いに恐怖を感じながら暮らすことが幸せと言えるのでしょうか。本当に人と犬との幸せ考える真のブリーダーというのは「問題がある」と判断した場合、絶対に外部に出すことはないのです。それと真のブリーディングはお金儲けはできません。お金には決してなりません。

犬に限らず動物の中には人と一緒に生活することができない動物がいます。

それを見極め、責任を取ることは人間としての義務でもあります。

現在、自称ブリーダーがはびこり、無知の中で金儲けのためだけにブームの犬種を増やし、こうした問題のある犬たちが世に出てしまい、ペットショップなどで犬を家族に迎えた飼い主が重い疾患や先天的に問題のある犬が負担となり、手に負えなくなっているのも現状でしょう。」

ーー例えば、そうした問題犬を「訓練する」という方法もあると思うのですが

ごしま「それは程度にもよります。私の場合、訓練が不可と判断する場合もあります。そして、その場合、責任をもって、獣医師とともに安楽死を選択することもあります。

なぜなら、どうにもならない手に負えない動物を目の前にし、檻に閉じ込め、到底ここでは書くことのできないような手荒な手法で「訓練」を長期間行うことが、果たしてその犬と人間にとって本当の幸せなのでしょうか。中にはそうした長期間の訓練をすれば「なんとかなるのではないか」という飼い主さんもいることとは思います。

しかし、そうした飼い主さんたちの多くが経験不足のためと、「なんとかならないの?」といった周囲の目や意見に押し流され、自分の手から愛犬を手放し、訓練士に託そうとする人が大半だと思います。

批判や意見といったものを他人がいうのは簡単なものです。しかし、いざ、本当にどうにもならない「問題犬」を目の前にして途方にくれる飼い主にとってもその犬にとっても、深刻な問題ですが、的確な答えを出してくれる「真の犬の専門家」はなかなか現れません。

預託訓練も実際、犬がどうなろうが関係なく檻に閉じ込めて恫喝するだけで、ただ金儲けのためだけに、飼い主の目の前では良いことばかりを言い安心させる「犬を預かる」訓練士がいるのも事実です。また、それを指摘・指導しない人がいないのも問題です。

こんなに多くの犬たちが一般家庭に迎えられているのに、そうした「真の犬の専門家」がいないことはとても不幸です。

もし、問題犬を家族に迎えてしまった場合、人に託すのではなく、最後は自分自身で決断し、「人と犬が幸せに暮らすためどのようにしたらよいか」をとことん考え向き合うべきです。

そして最後の決断は、周りの意見に関係なく、飼い主さん自身が決めるのです。」

ーー今後、どうしたらこうした問題を解決できるのでしょうか

ごしま「あなたが動物を家族に迎える場合、あなたはどのくらいその動物のことを考えていますか?ただ「かわいい、素敵、癒される、流行っている、かっこいい」自分がその動物といる姿の良い場面ばかりを想像していないでしょうか。

実際にペット、いわゆるコンパニオンアニマルというものはある種の「贅沢品」でもあるのです。そこにそれらは「命あるもの」ですから育てるにあたり必ずお金がかかるのです

なぜ、いま、若い人たちでも動物を飼うことができるようになったかというと命が「ローン」で売買されるようになったからだと思います。また、それに加え、ドッグフードと水、トイレ用品、それだけで簡単に飼育ができるとペットショップのアルバイト店員から説明を受けている人も多く、実際無知なアルバイトの店員に言われるがまま、更にはチワワのような小型犬には「散歩が不要」とまで言われ、飼育を安易に考えている人は非常に多いのも現状です。

「楽して得はとれない」

人間の子供と同じように、動物を育てることも手抜きをすればそのまま跳ね返ってきますよ。私はその犬を見ただけで、その犬がどのように育ってきたかもわかってしまいます。」

ごしま「私が話をしたことは「保護犬」の出る原因にもつながっているかと思います。もちろん、犬自身に問題がなく、飼育者に問題があって飼育放棄になっていることも多々あります。

悪質繁殖業者の崩壊、飼育放棄(ネグレクト)、動物虐待、多頭崩壊…これらの原因は行政が一番の原因です。条例罰則があるにもかかわらず、調査せず放置した結果に他なりません。悪質な繁殖業者は狂犬病予防法すら守っていないにもかかわらず、第1種動物取り扱い業者として「通って」います。

多くの行政の職員は、数年交代で働いているため、動物の専門家ではないことが多いのが現状です。獣医師免許があったとしても実務経験がないため実際の動物への対処ができな場合が多いことは、保健所に足を運んだことのある人ならご存知のことでしょう。

いま、これだけの不幸な動物を作ったのも人ならば、人がこの流れを止めることもできるはずです。」

ごしま「ただただ不幸な子を引き取ればいいという問題ではありません。その崩壊した原因を作った人に最後まで責任を取らせるべきです。つらいことは人まかせだなんてさせるべきではありません。」

ごしま「かわいそうな子を保護したという甘やかせ」が、多頭崩壊や悪徳ブリーダー崩壊を助長させているのも現状だということを思い知らなければなりません。それには行政が毅然とした態度で、罰則条例を遂行させ、業者や崩壊した原因をつくった張本人たちに最後まで責任をとらせ、処罰を行うべきです。

それと、保護された子達がみんな笑顔ですか?そうであれば良いのですが、残念ながら動物を保護したはずの、保護活動者の多頭崩壊というのもよくある話なのです。

最後に、これは保護している団体に言いたいことですが、良い事をしているという事だけではなく本当に犬たちは笑顔ですか?

犬や猫を多数保護したという事=多額の資金がかかるということは、保護する前からわかっていることです。全て他人からの寄付金だけで保護しようという甘い考えでは到底この動物たちを笑顔にすることができません。」

2016に起きた動物保護団体の崩壊より→取材記事はこちら 

ごしま「また、保護活動者自身の生活はどうなっていますか?ご家族は賛成してくれていますか?

自身の生計を立てるための仕事は順調ですか?ご家族をほったらかしにしていませんか?

ボランティアとは人様のお金をあてにして活動するものではありません。

みんなが幸せになれるような活動でなければ真の保護活動とは言えません。

自分の身にあまることをしてまでする活動ではけしてありません。

自分の家族、自分自身を大切にできいない人がする活動ではないということは肝に銘じてください。

あなたが幸せでないとみんなを笑顔にはできないと思い返してください。」

〜訓練士歴54年 女性訓練士のパイオニア ごしまれいこ 

 「 問題犬がでる原因と解決方法を問題提起」VOL.2〜

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東京犬猫日和

※記事掲載の写真は東京犬猫日和及び協力者の許可を得て掲載しており無断転載を禁じます。

Interview&Writer : Emi.S

Photo:東京犬猫日和

※一部写真はWan Lifeの許可を得て掲載。

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ごしま れいこ 訓練士

1946年 北海道室蘭市出身 女性訓練士のパイオニア・根本としこ先生に師事、独立。

JKC(ジャパンケネルクラブ)公認訓練士資格、訓練教士資格、審査員資格、NPD(日本警察犬協会)訓練士資格を保持していたが、40歳の時にすべて破棄。

日本軍上がりの男性訓練士、絶対服従訓練中心の時代から「家庭犬訓練の必要性」を訴え、その個体、家庭に合わせたしつけ訓練の普及に貢献してきた。

現在も現役で訓練士として活躍中。

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▪︎著書

「犬そだて」(全3巻)ごしまれいこ 1998年(いれぶん出版)

「うちのこそろそろ年かしら」2001年(モダン出版)

「成犬でも大丈夫!困った犬のしつけ方Q&A」2001年(主婦の友社)

「テディベア・プードル・ピクチャーブック」2003年 (小学館)

「小型犬・困ったときの愛犬セミナー 感じてください。わが犬からのサインを!」

2005年日東書院本社

▪︎連載 

愛犬チャンプ 「ゴッシーの犬育てはハンパじゃない」1994年1月号〜1997年10月号

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【ごしま先生への相談・訓練のお問い合わせ】 

info@tokyoinuneko.com

東京犬猫日和「ごしま れいこ先生」宛

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