「まずは身近な命を守りたい」
〜安易な譲渡を防ぐ「ねこざんまい」の取り組み〜

全国各地で盛んに行われるようになった犬猫の譲渡会。いまはネット上でも犬猫に限らず、動物の里親が募集されているサイトも好評だ。しかしSNSやネットだけでの「里親募集」は多くの問題を抱えている。メールや電話のやり取りのみで、実際に会ったこともないどんな場所に住んでいるか知らない遠方の人に、そのまま生きている動物たちを渡してしまい、その後行方知れずの動物や、脱走、病気、のちに譲渡時の約束とは異なるといったようなトラブルがでているのも事実。その後、ボランティア同士での責任の押し付け合いがはじまったりと、人のトラブルも絶えない。ここで改めて地域で定時開催されている「譲渡会」に着目したい。

東京都心で地道に、個人の保護活動者たちが企業コラボとしても協業しているアイペット損保から紹介を受け、取材に行った。

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東京都中央区東日本橋で隔週日曜日にねこの譲渡会を行っている「ねこざんまい」さんを訪ねた。こちらは動物保護団体というわけではなく、それぞれが仕事を持ちながら3人のスタッフを中心に猫の保護活動を行っている。

個人のボランティアさんが捕獲した猫や、自身の病気、突然の事故、引越し、経済的な変化など、様々なやむを得ない事情から家族である猫を手放す人も、ねこざんまいでは、「自分自身で新しい家族を見つけるためにこの場所を利用すること」ができる

譲渡会は正午12時から行われるが、すでに開催前から里親希望者の列ができており、なかなかの盛況ぶりに驚いた。来場者は待ち時間にアンケート用紙を記載し、いざ、会場へ。

▲来場者は手指に消毒を行ってからの入場が徹底されていた。

私が取材に訪れた日は、40数頭の猫が新しい家族ができるのを待っていた。それぞれ保護主が違うため、希望する猫への交渉は各保護主と行うスタイルだ。

ケージには保護主からの情報がわかりやすく記載されている。じっくりと保護主と話をし、そこにいる命と向き合い、双方の顔を見ながら意思疎通が取れることはやはりとても大切なことだ。大事に保護された動物たちは「物」ではない。1つ1つが大切な命だ。

▲様々な場所で保護されたねこたち。保護主さんに大切にケアされ、一生大切にしてくれる素敵な家族が見つかる日まで....譲渡活動は続く。譲渡されたねこたちが虐待などの2次被害に遭わないよう、里親がすぐに決まればいいという物ではないのだ。

▲譲渡会場でウトウト....

▲ねこたちの譲渡会は多くの来場者が終日訪れた。

希望する猫が決まれば、その場で希望者はトライアルの申込書を保護主に提出。

応募数が多い場合は、申込者の中から、それぞれの保護主がトライアル先を決定するとのこと。その中からトライアル決定者に選ばれた人は、「ねこざんまいのセミナー」を必ず受けてから、トライアルに進む。

▲真剣に話を聞くトライアル希望者。ねこの脱走防止、トライアル中の注意事項は飼育経験者ならわかっていても、実際にはトラブルが多いのが現状だからこそ、しっかり伝えなければならない。

このセミナーは譲渡会当日、ねこざんまいのスタッフから、初めてねこを迎える人だけではなく、飼育経験者にもしっかりとトライアル中の注意点など、猫を迎えるための準備など、約1時間ほどとてもわかりやすく伝えられる。

実は、この「人の話を聞く人を譲渡対象者に選ぶ」ということにも大きな意味がある。

セミナー受講が面倒、トライアルや手続き等が面倒だという人は里親には残念ながら向いていない。こうした諸手続きも、今後、ねこが譲渡された後のトラブル防止やコミニュケーションを取る上でとても大切なのだ。

アイペット損害保険の担当 上野歩美さん 

▲譲渡会で里親希望者に配布されるパンフレット。譲渡後も保護された猫たちが医療をしっかりかけてもらえるよう、かかりやすい病気や実際にかかる医療費について詳しく掲載されている。

セミナー最後には、ペット保険のアイペットとのコラボレーションで、猫がかかりやすい病気についての説明が行われ、レスキューされたねこたちが本当に幸せになるために約束を遵守できる家族へ引き渡されるように、ぬかりのない非常に工夫された譲渡会であった。

手間がかかるが、ねこを安易に渡さない、真剣に検討する人のみが選出され、また、大手企業と手を組んでいるのもこの譲渡会の良い面ではないだろうか。なかなかできそうでできないことである。

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譲渡会を終え、ねこざんまいの代表にお話を伺った。

代表の河原さんは、主婦の傍、2005年からねこの保護活動に携わるようになったという。

河原「幼い頃から犬と共に生活をして来た私は、 転職を機にペット可物件を購入し、何の迷いもなくペットショップに行き、そこで子犬を購入しました。 しかし、ネットで犬の情報を検索していた時に、殺処分されている命があるということ・不遇な環境におかれている犬猫の存在、そして里親募集をしている犬猫がいることを初めて知りました。 その後、我が家のマンション前で、猫にごはんをあげていたボランティアさんに出会いました。ボランティアさんはお一人で何十年も活動されていた方で『産まさない・増やさない』ことの重要性を教わり、 捕獲器を譲り受け捕獲に同行し、学ばせていただきました。それから、自身の地域にいる耳カットのない猫たちをTNRし、 子猫は保護して里親さま探しをするようになり、現在に至ります。不幸な命が生まれないよう、野良猫も飼い猫も不妊手術の徹底、譲渡会を終了させ、里親募集をする子がいなくなることがは個人的な目標です。」

河原「保護活動において大事にしていることは、命を前にした時に後ろめたい気持ちになるような行動をとらない。 ひとつひとつの命に対して、誠実であるということ。過去、いくつかの譲渡会に参加させていただき、良い所・悪い所を学び、現在のねこざんまいの譲渡会スタイルになりました。 それでも、これから先、良いと思うことがあれば取り入れ、悪いところがあれば改善していきたいと思っています。」

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同じくスタッフの高橋さんはボランティアの現状についてこう話してくださいました。

高橋「一部を除き、ほとんどの行政はボランティア任せなことが気になります。飼い主のいないねこの不妊去勢手術の助成制度が十分でないとことも多く、また例えば多頭飼い崩壊現場やセンター収容動物の保護を例にとっても、保護するボランティアが、保護から譲渡可能な健康状態になるまで、または看取りまでの治療としての医療費から保護期間のフード代、必要なケア物品までを全額負担している現状。それに対する補助、助成制度がない。 また、保護スペースや譲渡会開催場所の確保がなかなか難しいことへの理解、協力姿勢がほぼないこと。また地域の一般市民の理解、協力がほぼないか、無関心な現状。」

▲外猫たちは私たちが想像する以上に過酷な生活をしている。

高橋「保護をしてケア、お世話を継続、維持することへの理解があまり進んでいないこと。 一部の猫好きな物好きがなにかしている位に思われ、地域猫問題やTNRに関しても真の地域問題と捉えられないため、あらゆる負担はボラにかかってくる現状保護猫に対する理解が深まり、成猫や人慣れ不完全でも家族に受け入れてくれるような方が増えるように、外猫の過酷さ、ペット産業の問題点、買うより保護猫を迎えることへの利点、猫に関わる地域環境問題などについて、もっと知ってもらいたいです。」

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【企業と保護活動家のつながり】

企業として、また、ねこざんまいの譲渡会に自ら積極的に参加し、保護された猫たちの里親探しを間近で見ているアイペット損保の上野さんも、譲渡会に関心を持つ人が増える反面、安易な動物の里親探しに危機感を感じているといいます。

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上野「譲渡会の会場には、実際にブログで事前に気になる子を決めて来場される方も多いですが、結果トライアルを希望される子はお目当ての子と違う場合も目立ちます。 文字や写真だけでのプロフィールではなく、実際に会って保護主さんとお留守番の時間や家族構成、経験値や住居環境などをしっかり直接相談をすることが何よりも重要なポイントであり、結果、里親さんにとっても保護猫にとってもお互いが幸せになるためのマッチングが生まれる悲壮感のない明るく優しい場となっています。」

上野「決して早いもの順ではなく、決して自分の保護した猫の譲渡が決まればいいというものではない。 何人もの保護主さんが同時に募集をされるわけですが、みなさん譲渡にかける想いは同じで、「どの猫にも幸せになれる家族を見つけてあげたい」というとてもシンプルで何よりも大切な想いです。 」

上野「そのため、自分の保護猫に希望者さまがいても、他の保護主さんの猫の方がマッチすると思えば迷いなくご紹介をしあう。 毎回たくさんの新しい家族の誕生にわたしも立ち会わせていただいていますが、ネットの里親募集と違い、人間が一方的に選ぶのではなく、家族を誕生させるための「強く優しい人たちの想いの詰まった縁結びの場」がこの譲渡会にはあります。

アイペットでは、新しい家族がこれから長い時間を安心して笑顔で生きていってもらうために、「ペット保険」というひとつの手段で微力ながらこれからも応援をさせていただければと思います。」

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【ネットやSNSでの里親募集と譲渡会の違い】

里親募集サイトの中には、月間利用者数が150万人という近年急成長したサイトもある。

利用者数が多いサイトは不特定多数の人が閲覧するため、その中には虐待目的、動物実験会社に売る目的等の里親詐欺なども横行してしまう。里親を希望している人が、どんな人物なのか、冷静に互いに顔を見合わせ、しっかりと見極め、コミニュケーションをはかり、的確な判断をし、後悔しないようにしなければならない。

巧妙なメールや言葉に騙されて、里親詐欺や虐待目的の人に猫を渡してしまう場合がある。

譲渡後に、大騒ぎになるケースがあるが、それは他ならぬ譲渡者の責任でもあるのだ。

二度と同じ目に合わせてはならない、今度こそ生涯、幸せに暮らしていける居場所を見つけてあげなくてはいけない。

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これから里親になる希望をしている人は、分の住む地域や足を運べる範囲の譲渡会や保護主の元に足を運んでみてはいかがだろうか。


※記事掲載の写真は東京犬猫日和及び協力者の許可を得て掲載しており無断転載を禁じます。

東京犬猫日和

Interviewer,Writer :Emi Sekiguchi

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⭐︎ねこざんまい⭐︎

HP:https://neko3mai.com

東日本橋会場:中央区立産業会館
中央区東日本橋 2-22-4

〜譲渡会今後のスケジュール〜

1月21日(日) 12:00~16:00 東日本橋会場 3階

2月11日(日) 12:00~16:00 東日本橋会場 2階
2月25日(日) 12:00~16:00 東日本橋会場 2階
3月18日(日) 12:00~16:00 東日本橋会場 2階

⭐︎アイペット損害保険⭐︎

http://www.ipet-ins.com/ldp/LP001/?code=MS0006000

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