訓練士歴53年 女性訓練士のパイオニア ごしまれいこ 
〜日本にいる犬たち〜
それでも犬を買いますか? VOL.1

犬の訓練士 ごしま れいこさんは、現在71歳、現役の訓練士。訓練士歴は53年日本の犬の歴史を見てきた1人だ。女性訓練士として草分け的な存在であり、今も多くの愛犬家に慕われている。

犬の訓練士としてのデビューは昭和39年、当時の日本は、家の中で飼われている犬はまだ珍しく、多くの犬は庭で鎖に繋がれているのが当たり前、いわゆる「外飼い番犬文化」の時代でした。その後日本の犬事情は大きく変わっていき、犬はコンパニオンドッグ(伴侶犬)と呼ばれるようになり、家族の一員として家庭に迎えられるようになった。

日本における犬事情に長く携わってきたごしまさんに、半世紀余りを振り返ってお話を伺いました。

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ごしま先生は半世紀という期間にわたって訓練士として日本の犬事情にかかわって来られた訳ですが、訓練士を始められた頃から現在まで日本の犬事情はどのように変化していったのでしょうか?

ごしま「私が訓練士として活動し始めた頃は、犬の訓練所はいわゆる「日本軍」の軍用犬訓練所から独立した人が訓練所を運営していました。軍用犬の訓練所上がりの訓練所ですから、訓練の内容は「絶対服従訓練」が主なものになっていました。そして、訓練する犬種は殆どジャーマンシェパードでした。極端な話、シェパード以外は犬ではないとまで言われているような時代がありました。それが変わったのは「名犬ラッシー」のドラマが日本で大ヒットしてからです。」

ごしま「「コリーを飼いたい」という人が増えて、あっという間に右を見ても左を見てもコリーがいるような状況になりました。そんな中、アメリカのインターナショナルチャンピオン犬のコリーが日本に来ました。コリーの価格は360万円で、オーナーさんはアパートを建てるか犬を買うかで迷った末に購入したそうです。アパートを建てる値段と犬の値段が同じとは、すごいことですね。当然、日本で飼育されたことのない大型犬を購入されたのですから、そのコリーの管理を依頼されました。その頃、まだ私は若い訓練士として見習い中、初めてそのチャンピオン犬だというコリーと対面しました。そこで、そのコリーを見た時、すぐに目の異常に気づきました。私は思わず、「この子、目がおかしいですね。」と口に出てしまいました。するとすかさず、「そんなはずはない!!」と叱責され、それ以上何も言うなと言われました。私はそこで、「これは言ってはいけないことなのだろうか.....」と不審に思いました。しかし、当時は、インターナショナルチャンピオンの犬に「疾患がある」なんて、公の場ではいうことが許されない状況にありました。その結果、その血統の犬には疾患のある子が多く生まれました。当然の事ですよね。輸出をしたブリーダーだって、本当に素晴らしい犬ならば、たとえいくら積まれても手放すわけがないのですから。「手放す」という事は何か問題があるから「手放した」という事です。」

ごしま「でも外国からチャンピオン犬を買ってきて繁殖する方が売れるので、そういった方法をとるブリーダーが増えました。そのうち国内でドッグショーを開催してチャンピオン犬を作り、繁殖すればもっと楽に儲かるという事になって、チャンピオン犬が量産されるようになりました。私は訓練士としてドッグショーにかかわり、いろいろな仕組みを知る事になりました。」

ごしまさんは以前、JKC(ジャパンケネルクラブ)公認訓練士資格、訓練教士資格、審査員資格、NPD(日本警察犬協会)訓練士資格を保持していたが、40歳の時にすべて破棄したという。

ごしま「私に任された犬たちが、警察犬として活躍するわけではなく、家庭犬としてそのご家庭ごとに合うようにトレーニングをするのに、これらの資格は全く必要ありませんでした。そして、なにより、ドッグショーなどの裏側を知れば知るほど、この悪事に加担することが許せませんでした。

ごしま「日本では、ある犬種がメディアなどで取り上げられ話題になると、あっという間にその犬種がブームになる傾向があります。コリーの次はハスキーやゴールデン、ミニチュアダックスと続き、その傾向は今でも変わりません。本来ならば遺伝性疾患は勿論、気性のことも考えて健全な繁殖をしていかなければいけないのですが、目先の儲けを優先して乱繁殖してしまいます。その結果不幸な犬がたくさん産み出されます。」

犬種「ダックスフント」のうち、地の毛色に白・灰色など白系の色がランダムかつ斑状に多く入っているDappleとは「まだら」「ぶち」のことで、ダックスフントにおいて、白系の毛色は劣性遺伝の発現であり、ダップル同士を交配させると死産が増えたり、産まれても小眼球症・難聴・内臓障害など遺伝性疾患が起こったりする率が高くなる。この子は無知な個人繁殖家の元で生まれ、遺棄された犬。毛の多くは白く、弱視だ。

▲超大型犬〜小型犬まで、自由に操るごしま先生はとても華奢。犬をリードするのに「力」はいらないという。

ごしま「中には犬種を愛し健全な繁殖をする「ブリーダー」もいますが、それは時間がかかり決して儲かるものではありませんので、その数はどんどん少なくなっていきました。大きな団体が犬業界を仕切ってしまっている構図は今も昔も変わっていません。その方向性が愛犬家や犬達にとって良い事なのか否か、問われる時期が来ていると思います。そもそも健全なブリーダーならば、流通するような場所へ大切な大切な犬たちを手放すことは致しません。」

〜訓練士歴53年 女性訓練士のパイオニア ごしまれいこ 

日本にいる犬たち それでも犬を買いますか? VOL.1〜

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東京犬猫日和

※記事掲載の写真は東京犬猫日和及び協力者の許可を得て掲載しており無断転載を禁じます。

Interview:Osamu Tetsuiwa

Writer:Emi Sekiguchi

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ごしま れいこ 訓練士

1946年 北海道室蘭市出身 女性訓練士のパイオニア・根本としこ先生に師事、独立。

現在も現役で訓練士として活躍中。日本軍上がりの男性訓練士、絶対服従訓練中心の時代から「家庭犬訓練の必要性」を訴え、その個体、家庭に合わせたしつけ訓練の普及に貢献してきた。

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▪︎著書

「犬そだて」(全3巻)ごしまれいこ 1998年(いれぶん出版)

「うちのこそろそろ年かしら」2001年(モダン出版)

「成犬でも大丈夫!困った犬のしつけ方Q&A」2001年(主婦の友社)

「テディベア・プードル・ピクチャーブック」2003年 (小学館)

「小型犬・困ったときの愛犬セミナー 感じてください。わが犬からのサインを!」

2005年日東書院本社

▪︎連載 

愛犬チャンプ 「ゴッシーの犬育てはハンパじゃない」1994年1月号〜1997年10月号

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【ごしま先生への相談・訓練のお問い合わせ】 

info@tokyoinuneko.com

東京犬猫日和「ごしま れいこ先生」宛

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