「幸せの国」ブータン王国に学ぶ野犬対策

日本でも2016年10月現在に於いて、野犬問題を抱えている自治体が存在する。

現在の対策として、犬猫をはじめとするペットの飼い主には、狂犬病予防法により、犬を所有したら生後90日以降そこから30日以内に居住している市町村役場・保健所等で登録する義務がある。違反すると二十万円以下の罰金。

また、ペットの遺棄は動物虐待行為と見なされ、日本では50万円以下の罰金が科せられることになっている。

それでも全体の4割近くの犬が現在も未登録であろうと言われており、ペットフード協会の平成27年の全国犬猫飼育実態調査によれば、犬の飼育頭数は全国で約991万7千頭と推測されているので、少なくとも300万頭以上の犬が登録されていない幽霊犬だという。

野良猫問題同様、野犬も、地域住民や地域の動物保護団体、自治体が頭をかかえている。

私たち日本の環境の方が、ブータンよりもうんと恵まれているにもかかわらず問題解決に至っていない。

日本における野犬は、飼い主の飼育放棄によって野犬化したものが多数を占めている

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国民のほとんどが敬虔な仏教徒であるブータンの人々にとって「命あるものは皆心をかけられなくてはならない」という仏教の教えは深く浸透している。

仏教の教えの中には「むやみな殺生を禁ずる」というような内容が含まれている。

それは輪廻転生からくる平等主義に由来するものなのか、仏教の教えは人々に深く浸透しており、現世の行いによって来世に何に生まれ変わるか決まるという。

近くを飛ぶ虫たち、実は自分の親だった存在かもしれない、だから殺せない」、さらには「人間が生きていく上で何かを殺して食べなければならないのは人間に課せられた原罪だ」とまで考える人もいる。

市場でも、肉を扱う店は野菜その他の店とは別の場所、奥の目立たない場所や場外にあったりするのもその関係だそうで、さらには魚は聖なる存在としてほとんど捕らないし食べないとのこと。

だからブータンの人々は通りをうろつく犬たちにも心を配り世話をする。

ただし、犬を自分の敷地に入れて所有するのではなく、あくまでも同じ地域の中に住むコミュニティの一員として捉えているという。

しかし2000年代中頃、街中に住む犬たちの数は人々の手に余る数にまで増えてしまった。

当時はさらに2008年の新国王戴冠式を控え、それまでに路上の犬たちをなんとかしなくてはと、ブータン政府は頭を抱えていた。しかしこの国の政府に犬たちを殺処分しようという選択肢はなかった。政府は大規模な保護施設を作り、そこで犬たちを飼育したが、環境に馴染めなかった犬たちの多くが命を落としてしまった。

ブータン政府はかねてから相談していたHumane Society International(HSI 国際動物保護協会)のアドバイスを受け、前代未聞の一大国家プロジェクトを実行に移した。

▲パロの獣医師と犬の捕獲チーム。獣医は個人的に協力し去勢/避妊手術を行っている。

全国で約10万頭に登ろうかという犬たちに避妊去勢手術とワクチン接種を施す計画に着手した。

▲犬を傷つけないよう捕獲ネットで捕まえ、傷口を最小限に留める方法で避妊去勢手術を行う。

手術とワクチン接種が済んだ犬は耳に目印のカットを入れて路上に戻され、元のように生活を続ける。

日本でいう野良猫のTNRと同じ方法だ。※日本では耳をカットした猫を「さくら猫」という

実際に犬の数が目に見えて減ってくるには5~6年の時間がかかるが、不要な殺生をよしとしないブータン政府と国民はこの方法を受け入れ、2016年現在、路上の犬は自然な形で減少し秩序を保っている。

動物福祉とか動物保護というと、私たちはついヨーロッパやアメリカにばかり目を向けがちであるが、犬や猫という生き物がそこに居ることを認め、受け入れ、命を尊重するという仏教的な考え方に、現代の日本人が改めて立ち止まり、「人間中心の文化」から「幸せな国ブータン」に見習うべきところはないだろうか。

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記事元・参照:

Public Radio International:http://www.pri.org/stories/2016-06-15/bhutan-carri...

http://achikochi.takema.net/Bhutan-thimphu07.htm

野犬:https://ja.wikipedia.org/wiki/野犬

『ガジェット通信』(執筆者: ガニング 亜紀):

http://www.excite.co.jp/News/anime_hobby/20161005/...

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