密猟によるアフリカゾウ絶滅の危機【日本の象牙買い取りが引き金に】
日本国内で流通する象牙などに対しLIAが告発

自然環境と動物の保護活動を行うNGO「Life Investigation Agency」(LIA)が10月3日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を開き、象牙などの違法売買の実態について発表した。団体のヤブキレン代表は「絶滅する生き物と引き換えにして商品が必要なのか、世の中に考えていただきたい」と話した。南アフリカ・ヨハネスブルクで開かれていたワシントン条約締約国会議は10月4日、アフリカゾウ保護のため象牙の国内取引禁止を各国に求める決議を全体会合で正式承認し、閉会した。

【日本は世界最大の象牙の消費大国】

日本では2000年に実験的に「合法的な象牙」を約50トン買い取った

そして、2002年11月のワシントン条約締結国会議で、条約が定めた基準を満たす国内取引の監視システムがあるとされた日本と中国に対し、2008年の1回に限り南部アフリカからの象牙の取引が許可され日本は108トンの象牙を買い取った。

しかし、実際の象牙取引市場で、合法的な取引による象牙と、闇ルートによる違法取引で流通する象牙の区別は容易ではない。

獣医で、アフリカの家畜診療プロジェクトに携わる滝田明日香氏は雑誌「THE BIG ISSUE JAPAN」第178号で次のように指摘。

本来なら自然死や害獣コントロールで殺されたゾウの象牙だけが国際取引の対象になるはずだった日本と南部アフリカ諸国の合法象牙取引は、実際には「アフリカゾウの乱殺」と「象牙のローンダリング」(違法象牙を合法の象牙として流通させる)が可能な土台を築き上げてしまった。

日本に流通している象牙の多くは密猟された野生のゾウに由来している。

密猟者は牙の途中から切りとらず、無残にも顔を含めて切り取る。

ケニア政府担当者からは「日本に望むことは、国内の象牙市場を閉鎖することです。」という声も上がっている。(NHK BS1 ワールドウオッチングより

写真:Siegfried Modola / Reuters

ケニア政府は2016年4月30日、密猟者から押収した象牙約105トンを首都ナイロビの国立公園で、一斉に焼却処分した。約8000頭分に当たる量で、象牙を目的としたアフリカゾウの密猟を根絶する姿勢を見せている。

密猟者が奪った象牙は、闇市場では、1本あたり100万円近い値段で売買されています。
密猟者の多くが隣国・ソマリア側から侵入し、その背後には犯罪組織があり、レンジャー隊は、テロ組織ともつながりがあるとみています。

密猟者たちは貧しい若者などが多い。
わずかなお金で雇われ、いわば『捨て駒』としてレンジャーに射殺される危険を犯してでも、次々に密猟を行っているというのが実態だ。

日本や中国で装飾品の材料などとして珍重されてきた象牙。

こういった違法な象牙取引は、アフリカゾウの密猟を助長させ、生態系のバランスを崩すだけではなく、世界各国政府・地域がその規制強化に取り組んでいる中において、日本の現状はこういった国際的な動向に反している。

【象牙は一体何に使われるのか?】

印鑑、三味線のバチなど和楽器、ピアノの鍵盤、装飾品…調べれば多くの「商品」がでてくる。日本人なら、一度は目にした事があるのではないだろうか。

象牙の印鑑が好まれるポイントは「高級感 、耐久性 、印字の良さ」だと言う。

象牙のピアノ鍵盤に関しても、「見た目の風格、指先の肌触りが指に吸い付く様な感覚で、長時間の弾き込み使用にも、指先の汗を吸い取り、ぬるっとした感じがせず、非常に演奏しやすい。」との事。※人工象牙やアクリル鍵盤はピアノ演奏者からすると汗を吸収せず演奏しにくいそうだ。

多くの象牙製品。これらを持つ事、使用することはステータスになりますか?

中国語の文字も見えるが、これらは日本国内で販売されているものだ。

【流通の温床 ネット取引】

ヤブキ代表によると、日本では象牙商品の流通の多くが古物商による売買と、「ヤフーオークション」で行われているという。実際にヤフオクで「象牙」と検索すると、約1万件がヒットする。社会運動サイト「Avaaz」では、ヤフオクでの象牙の取引を禁止するよう求める署名運動が起き、150万人近い人が賛同している。

【批判が集まる日本の流通規制の緩さ】

また、イギリスのNGO環境捜査局(Environmental Investigation Agency、EIA)が動物福祉団体ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(Humane Society International、HSI)と共にまとめた報告書「BLOOD e-COMMERCE」(血に染まったe-コマース)の中で、日本のインターネット通販大手、楽天が世界で最も多く象牙や鯨肉製品の売買を行っていると指摘。中でも、象牙製品の95%以上が印鑑であり、そのほとんどがアフリカからの密輸入だと指摘している。

日本のインターネット通販と国内における規制の緩さがこうした密輸入を支えていると分析。現在の規制では、象牙を丸ごと1本輸入する場合のみ業者に登録を義務付けており、卸、製造、小売など広範囲に及ぶ業者に対する規制が欠如しているとした。

▲10月3日 LIAによる記者会見の様子

LIAは、ヤフオクなどを定期的に巡回し、違法な象牙や動植物の売買が行われていないかを監視している。今年4月以降で300件以上を刑事告発しており、このうち象牙だけでも20件近くあるという。

ヤブキ代表はこれらの事実から、「ヤフーはオークションで動植物の取引を一切禁止すべき」だと主張。また、環境省に対しても「違法な取引に対する法整備を強化すべき」だと話していた。

200本の象牙は、100頭の象が殺されて、牙が奪われたという事、小さな象牙は、子どもの象が殺されたという事を、私たちは知らなければならない。

いまもなお、こうした国内取引が蔓延する日本に対し、世界から厳しい視線が向けられている。


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弁護士トッドコムNEWS :https://www.bengo4.com/internet/n_5178/

Huffingtonpost:http://www.huffingtonpost.jp/2014/01/18/rhino-elep...

http://www.huffingtonpost.jp/2016/05/01/kenya-ivor...

※全形を保った象牙の場合、この間に取得したと証明できるもののみ「種の保存法」に基づき環境相に登録手続きを行えば取引できる。

一方、加工品などは国に届け出た業者が販売でき、購入に特別な許可は不要。業者は取引内容を国に報告することが義務付けられている。

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