こいつと暮らそう、となった時、生活が変わったんだよね

藤井照久氏は、自動車をこよなく愛する"モノ創り"のプロフェッショナル。

子供の頃、父親が所有していた"日野ルノー4CV"が、藤井少年に大きな影響を与え、以後、本田技術研究所などを経て、ルノーの レーシングパーツ等を扱う会社設立、また、ルノーF1チームのコーディネーターとして22年間、チームを支えたりと、公私ともに充実した忙しい日々を送っていた。

【そんな藤井氏の所有するビルの屋上に、ある日、子猫がやってきた。】

事務所の屋上で「ギャーギャー」と大きな声が響いた。その声の主を捕獲するのに3日。

大きな声の主は、可愛らしい子猫だった。

「1階から屋上のある7階までまでのぼりつめた、この子の名は"エビータ"にしよう」

私生児として生まれ、ファーストレディになった、アルゼンチンの女優エビータにちなんだ名前だ。

このエビータこと"エビちゃん"をきっかけに、藤井家には次々と、近所に住む野良猫たちが舞い込んできた。

▲手前から、カニ、チリ、リタヘイワース(脱走が得意)、柵の外にいるのがマツコリラックス。

藤井さんの付ける名前には、1匹1匹に対する思いがちゃんとつまっている。

都心の一等地、広尾の路地裏猫出身の血縁猫たち。現在は屋上に居を構える。室内と屋上の出入りは自由。

▲ソクラテスじゃなくて、「ソクラテツ」通称:テッチャン

「いままで仕事で忙しく、動物を飼うなんてとんでもない、そう思ってきたんだけどね。

でもいざ、"こいつと暮らそう"となった時、生活が変わったんだよね」

エビちゃんを筆頭に、次々とご縁のあった猫たち。

少しずつ、多忙だった生活に変化が出てきたという藤井さん。

藤井さんが海外出張で、自宅をあける時には、近隣の猫好きお姉さんたちも、お世話に通ってくれるようになった。

猫エイズで他の猫さんとは隔離中のレイチェルちゃん。ご近所のお姉様にべったり。

▲同じビルに入居するマダム、小針さんは、藤井さんがエビちゃんを捕獲する際に協力しただけでなく、藤井さんが保護した犬猫数頭を獣医の卵である娘さんと一緒に、里親にもなっている。

藤井さんの犬猫のサポートに加え、他にも犬猫合わせ6頭と同居中だ。

みんなで捕獲して、みんなで一緒に助け合ってお世話。

なんともゆる〜く優しい空気の流れる空間は、藤井さんのオーラそのままでもある。

自然体なのだ。

藤井さんは猫たちとの時間を過ごす中で、仕事以外の動物好きな仲間との縁も増えてきた。そんな中で、今度は軽井沢ブリーダー崩壊現場からレスキューされてきたばかりのビーグルを見てしまった。

悲惨な状況にいたことが容易に想像できるような強烈な匂いを放つ、ビーグルの子犬を引き取ることにした。

名前を「八房」とつけた。里見八犬伝に由来する。通称:ヤッチャン

「この都会の屋上庭園もボクのものだよ」byヤツ

元野良猫、崩壊現場からレスキューされた犬を、自然な成り行きで家族に迎えた藤井さん。

「保護された犬猫をかわいそうと思うのは人それぞれ。こうした犬猫を迎えることは、実は、自分のためにやっていることだということを自覚するべきだよね

僕は少なくとも、この子たちと過ごすと楽しいだろうな、こいつと暮らすんだと自分のために家族に迎えた。

犬猫たちは本当は人間に飼われることを望んでいないかもしれない。

野良猫の世界の方が本当は自由で、のびのび生きていられるのかもしれない。

何を持ってかわいそうかというのは人間が勝手に決めること。

それでも僕が、この子たちを家族に迎えたというのは僕の勝手。

自分の責任において、家族にしたんだから自分の生活スタイルを変えるのは当然だし、お金をかけるのも当然。

世間一般的に言う「保護する」というのは、本当は自己責任でやるべきなのじゃないかな〜と、僕は思うよ。」

藤井さんは、犬や猫との暮らしの中で、長年プロとして携わってきた"モノ創り"から

新たな人生設計を創り始めている。

「お金のために時間を売る生活から、生きることが仕事の生活に。」

5千坪の土地を偶然、発見した。

数年間交渉、先日、やっとその交渉を終えて手に入れた。

モナコ王国ならぬ「モナカ公国をつくる」のだという。

モナカ公国の城主は猫のエビータちゃん。

藤井さんは"モノ創りのプロ”だ。

レーシングカーから、今度は愛猫、愛犬、そして自分の人生を創るために。

藤井さんは、犬猫たちのお供として、「モナカ公国」建国を目指していました。

東京犬猫日和

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