「実験犬シロのねがい」より―問われる動物実験

飼い主に捨てられ、保健所や動物管理事務所に引き取られた犬や猫などの動物が、

実は、こっそり動物実験用に渡されていたという事実は、ほとんど知られるこ­とがありません。

何十年もの間、全国で行われてきたこの悪習を大きく変えさせたのが、

1990年の12月におこった「シロ」をめぐる出来事です。

シロは1年前、ある病院の実験犬として脊髄を削られ、手当もされずに、
死を待つばかりだったところを保護された犬でした。


テレビや新聞に、そのことが大きく取り上げられると、
日本中からシロへの励ましと、
病院への抗議が殺到したのです......。

これは、捨てられ、実験される犬たちと、
そうした不幸な犬たちを救い続ける人々の実話です。

・あなたは知っていますか?捨てられた犬がどうなるのか...

・声のない動物たちの訴えに耳を傾けてみましょう

・シロの存在は、たくさんの犬猫を実験の苦しみから救い出す大きな力に

シロは、飼い主に虐待され、捨てられ、動物管理事務所に収容された時は、まだ1歳くらいでした。
犬たちを待ち受けているのはガス室での察処分か、動物実験への払い下げです。

シロは、若くておとなしい犬だったために、都内の国立病院に実験用に払い下げられ、すぐに脊髄神経を切断するという、とてもつらい手術を受けました。

この実験室では、犬たちは手術後、どんな手当もしてもらえません。
シロが手術後、傷口が化膿し、膿がたまっていても、医者たちは見にも来ませんでした。
手術で体力が衰えている上に、疥癬(かいせん)という皮膚病に感染し、全身の毛が抜け落ち、このまま放置されれば、死んでしまう寸前にまでなっていました。

瀕死状態で保護されたシロは、あたたかい世話を受け、健康を回復することが出来ました。
実験の後遺症は残ったものの、ふさふさと白い毛がはえ、見違えるように愛らしい犬になりました。

そして、田舎の自然の中で幸せに暮らせることになったとき、思いもかけず、不慮の事故で死亡しました。


12月24日、クリスマスイブの夜でした。

シロは実験室から生還してわずか1年しか生きることは出来ませんでした。
推定年齢わずか2歳の短い一生です。
けれども、シロの存在は、毎年何万頭もの犬や猫たちを実験の苦しみから救い出す大きな力となりました。

このことは、日本の犬や猫たちをめぐる歴史の中で、忘れられない大きな出来事の一つであるに違いありません。

2012/08/29 公開

井上 夕香:作 葉 祥明:画 

ハンカチぶんこ「実験犬シロのねがい」より。

実験犬シロのねがい
http://www.810.co.jp/book/ISBN978-4-8...

写真提供
NPO法人 地球生物会議(ALIVE) http://www.alive-net.net/
International Association Against Painful Experiments on Animals (IAAPEA) http://www.animalexperimentspictures....
People for the Ethical Treatment of Animals (PETA) http://www.peta.org/

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